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2021年度の担当授業

2021年度前期(春学期)はサバティカルのため授業はありません。

後期は次の科目を担当します。

立教大学観光学部交流文化学科 [講義]観光人類学(宗教)、[演習]学部2〜4年、大学院

観光人類学(宗教)

目標
社会科学的な視点に立った宗教理解の上で、宗教とツーリズムの結びつきを多元的に捉える。それにより、観光研究の文脈では観光(ツーリズム)の社会的な拡大を理解し、宗教研究の文脈では宗教の拡散や商品化の動態を理解することを目標とする。 

概要
宗教とツーリズムとの結びつきは近年多方面で注目されている現象であるが、単に宗教的な場所(聖地)やモノ(御朱印、護符など)が観光資源になっている、という表層的な状況を見るのではなく、そのような現象がどの程度の歴史的深度を持ち、いかなる社会相・時代相の変化とともに現象化しているのか理解する必要がある。そのためには多くの人にとって理解の不十分な「宗教」とはそもそも何かという点を、教義や教団という狭義の構成要素からではなく、日常生活や社会的機能といった面から人類学的・社会学的に捉えた上で、高度消費社会化する後期近代の特質が宗教の変容や観光資源化に作用している仕組みを、段階を追って考えていく。その過程では、通常イメージされている「宗教」という意味合いを越える事象が扱われることになる。 

イントロダクション:宗教のイメージを相対化する 2. 宗教と社会変動:世俗化 3. 高度消費社会化と拡散する宗教性 4. 巡礼のツーリズム化 5. 巡礼ツーリズムの現在 6. 聖地の構築と文化遺産 7. 心霊スポットからパワースポットへ 8. 集合的熱狂:フェス・デモ・全体主義 9. 他者に寛容なツーリズム:ハラール・礼拝堂・ベジタリアン 10. 映像視聴:Youtube時代と消費される宗教情報 11. 自己啓発とセラピー文化 12. ディープエコロジーとロハス 13. 片づけ・断捨離・ライフヒストリー 14. まとめ

関西学院大学大学院社会学研究科博士前期・後期課程 [集中講義]社会学特殊講義H

目標
民俗学と宗教社会学のクロスする領域に関する、知識と理解を深めることを目的とする。第一には宗教社会学のポスト世俗化論を初めとする近年の成果を、民俗学的宗教研究に活かすための視点を身につけることであり、第二には、民俗学と社会学との対話の足がかりを増強することである。

概要
宗教と社会の関わりを考える分野は宗教社会学と総称するならば、日本の民俗学は、社会変動論の一環として行われる宗教史・新宗教研究、講や仏教教団を含む宗教組織研究、民俗宗教研究など、主として宗教学の一分野として展開する宗教社会学と、その事例や方法を含む多くの部分で接点を持ってきた。他方民俗学は、社会理論としての性格を強く持つ宗教社会学に関心を持つことは皆無で、M.ウェーバーやN.ルーマン、T.ルックマン、U.ベックなど社会学者の宗教研究が取り上げられることはほとんどなかったと言える。ゆえに、世俗化や「宗教の拡散」といった宗教社会学理論が民俗学で参照されることもまれである。近年の宗教社会学は世俗化論への問い直しを進め、「見えない宗教」(T. ルックマン)として私事に閉じられた「宗教的なもの」が、制度宗教以外の文脈で広く社会に環流していることに注目し、公共宗教論やスピリチュアルマーケット論等として展開している。いわゆるポスト世俗化論と総称されるこうした現代社会の宗教性に関する研究は、日常/生活に埋め込まれた宗教や信仰について民族(俗)誌的手法や世相史的な手法で問うてきた民俗学にとって、本来積極的に対話のできる研究領域だったはずである。にもかかわらず民俗学では、旧来的な意味での「民俗」や「伝承」に相当する事例やジャンルを更新することなく維持しているために、社会のあらゆる局面に立ち現れる宗教性を問うポスト世俗化論的な宗教社会学と対話のできない状況に陥っている。そこで本科目では、事例(「民俗事象」)を軸に講義計画を立てるのではなく、両学問の代表的な概念、視点、方法論を軸に講義計画を立て、二つの分野にまたがる先行研究をとりあげながら、膠着状態にある民俗学的宗教研究の諸概念を刷新していくための構えを身につけたい。

集中講義のため一時限ごとに細分化するのではなく、以下の7つの主題を順番に進めていくものとする。
[1]宗教/信仰にまつわる諸概念(民間信仰、民俗宗教、心意現象、兆応禁呪、宗教の実体的定義と機能的定義、意味の供給、信の多元性など)
[2]社会変動としての宗教史(生き神思想、偉人崇拝、シャーマニズム、内発的発展論など)
[3]宗教組織(講、真宗教団、仏教民俗学、新宗教、カネと経営など)
[4]世俗化とポスト世俗化(私事化論、宗教の資源化、民俗の埋め込みと脱埋め込みなど)
[5]スピリチュアルマーケット(宗教ツーリズム、心理主義的商品、葬儀業など)
[6]宗教性のリサイクル(ジェネリック宗教論、陰謀論とナラティブ、物質宗教論など)
[7]レジスタンスとしての民俗学(民俗誌とZINE、結衆とコンバージェンスカルチャー、ヴァナキュラー宗教)